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お話を書いています。 まだ整理整頓できてないですが、少しずつ更新していきますので宜しければお立ち寄りください。 日記や雑記も混じってます。
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2024-05-18 (Sat)
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2009-03-25 (Wed)

肉桂の香りに似た、鼻周りに纏わりいつまでも残る匂い。
まだ雪が残る春先、土手に生える土筆を採りに行くと帰りにはいつもこの匂いがついてきた。
川原の方まで降りて行くとまだらに生えた菜の花が咲いている。
何度かその花芽を摘んで帰ってはみたものの、大抵は食卓ではなくガラスの器に浮かべられていた。


「御浸しの菜の花は背が低い方なのよ」

言われてみれば確かに伸びが違う。
とは言え、田舎ではこれを御浸しや天ぷらにしていた。
匂いはきついものの子供の口にもおいしいものだった。

「うちの菜の花の御浸し苦いよね」
「この苦いのが菜の花でしょ、スーパーでちゃんと売ってる菜の花よ」

あぁ、そういうことか。
違うんだろうな、もろもろと。

そう思いながら冷蔵庫を開けてみると、そこには”生食用ニンジン”と書かれた袋に入った人参があった。

人参に生食?

「この人参、生食用ってなに?」
「あぁ、それね甘いんですって。人参臭くないの、試食したから本当よ」

臭いのが人参でしょ そう思ったが、よくよく考えてみれば最近の野菜はどれも個性がない。
野菜嫌いが減ったのではなく、野菜の個性が無くなっただけじゃないだろうか。

そうやって、野菜のように変わっていくのだろうか。

何かに思いをはせるかのように考えていた。
その指は土筆の袴を毟りながら。
鼻先には菜の花の匂いを感じながら。

 

 


菜の花はアブラナともいいますが、背の低い野菜のような食卓によくあがる菜の花と、背の高い油をとるセイヨウアブラナがあるようです。
アブラナというと理科の実験で使うひょろひょろとしたものを浮かべてしまいますが、元は同じアブラナ科どちらも食べ方は違えども土地によっては「菜の花」として食べるようです。
個人的には天ぷらが好きです。

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