ずっと前に学校の裏庭で見つけたその花、
咲き終わった枝先には種がついていた。
別段これと云って綺麗だと思った訳でもなく
感動したわけでもなく、なんとなくその種を
数粒取ってポケットに入れた。
あの時、もう日が暮れかけてたっけ。
夏も終わりに近づいて、日が陰る頃には
どこか物寂しい何かを感じて嫌だった。
* * *
「制服、洗濯するから出しておきなさいよ」
夏服から冬服に変るまで、中途半端に組み合わされる
制服。
とりあえず真っ先にシャツが替えられる。
洗い替え数枚も衣替えの準備とかで
全部洗いなおしておくと言われた。
アイロンのかかったシャツが夜には渡される。
たたんで袋にでも入れてくれればいいのに、
そう思いながらベッドの上でたたむ。
胸ポケットに石はいってる・・・
ポケットの内側奥、
縫い目と生地の端でぐすぐすになった隅っこ。
干からびて小さくなった種が2粒。
種だ。
石か何かのようにも見えるほど、
ガチガチに縮まっている。
今日まで気づかないまま洗濯してたんだ。
洗濯で回ってるし、芽でないよな。
たかが種、惜しくもないし。
と思いながらも、それを取っておく。
どうせ捨てるなら・・・
* * *
庭先に白とピンクの混ざった花が咲いている。
蒸し暑い夕方、
もうすぐしたら雨が降りそうな湿気。
去年、学校の裏庭で見た花と同じだった。
咲いたんだ・・・
あんなところだったっけ?アレ捨てたの。
「あぁ、それオシロイバナ。
あんたがポケットに入れたまま洗濯に出してたアレ」
洗濯する前に気づいたそうだ。
「洗濯、ポケットにちり紙とか出しててよ。
種も。
気づかないで回したら他のものにまでクズが付くんだから」
違うアレだった。
でも同じアレだった。
オシロイバナ:
夏に咲きます。
白やピンク、ミックスなど一株から色々咲きます。
夏の暑い日にとても元気にわんさか咲いてくれる
オシロイバナは、咲き終わると3~5ミリ程の種を
つけます。
土地を選ばないのか、適当に蒔いておいても
たいてい咲いてくれるようです。
というよりも、がっしりわっさりと!
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