さて、世の中にはよくわからないものが多くありますもので。
心内何ぞこれまたわけわからんちんな事ばかり。
たった一つの言葉にも、それに込める気持ちは十人十色。
始めにちょっと勘違いでもしたものなら、
話が進むにつれて天と地ほどにまで違いが出てしまう。
そんなものなんですよ。
便利屋を勢いよく出てきたのはいいけれど、
帽子をとってしまったから、ほら、耳、耳、
ロバのように垂れ下がった耳。
なんて邪魔そうなでんでん太鼓仕様だこと。
「どこに行ったんだろう・・・」
というより、あの一瞬の差で見失うほどの
移動速度に疑問を感じましょうよ。
「あ、匂い、町の人とは違う匂いがする」
匂いですか!?
そういえば、その耳ロバじゃなくて犬なのですね。
走ったその先に真っ黒なローブの人がいます。
きっとさっきの人です。
雑貨屋で嗅いだ『ウサギ臭と違うもう一つ』の匂いがするでしょう?
「あの!」
あっ、突然つかみますか!?
そんなにローブをつかんじゃ中身が見えちゃうじゃないですか。
ほら、なんだか無言で振り返られちゃって・・・
きっと睨んでますよ、とっても険しい顔で。
「あ、あの・・・」
「なんだ?」
「あの・・・」
「用がないならローブを離してくれないか」
「あぁ、ごめんなさい!」
ほ~ら、怖い怖い。
ごめんなさいついでに、顔も拝んじゃいましょうよ。
あら、ローブは離さないのですか?
「あの、用事あるんです」
「・・・、言葉を変えよう。
とりあえずローブを離してくれ」
ほ~ら、もっと怖い怖い。
「旅してるんですよね。
お供・・・荷物もち探しているんですよね。
お勧め屋に教えてもらいました。
あ、僕狩りに連れてくれる人探してたんです!
あ、旅に連れて行ってくれる人も探してたんです!
あ、だからお勧め屋にお勧めしてもらったんです!
「ウサギめが…」
「僕を連れてってください!
あ、結構力あるんですよ、食料品屋で手伝ってますし!
あ、鼻いいんです!狼とか結構遠くにいてもわかるんですよ!
あ、耳、こうやって立てれば結構よく聞こえるんですよ!
あ、」
「もういい、お前の事はわかった」
「連れてってくれるんですね!ありがとうございます!準備してきます!」
さすが犬ですね。
この有無を言わさないたたみ掛けとテンション。
そういえば、犬って玄関掃除でちょっとリードに触れただけでも
散歩と思ってテンションあがりますよね。余談ですけれど。
「おまたせしました!
さっきの場所にいなかったから、
ちょっとだけ探しましたよ」
これまた大きなリュックサックですね。
中身は食料ですか?
「いや・・・」
「まだお買い物ありました?」
「そうじゃなくてだ」
「あ、食料なら大丈夫ですから!」
「待っていたわけじゃないんだが」
「やさしいんですね!
怖い人だったらどうしようかと思ってたんです。
あ、ちょっとだけですよ。
あ、ちゃんとお仕えしますから安心してください!
あ、ちょっとなら狩だって出来るんですよ!
あ、」
「もういいから・・・」
「はい、じゃ行きましょう!」
「・・・。」
張り切ってますね。
一人だけ。
「どうしたんですか?
あ、今日はこの町に泊まる予定でした?
あ、僕いい宿屋知ってますよ!
あ、とっても安い宿屋も知ってますよ!
あ、ご飯美味しい宿屋もあるんですよ!
あ、酒場の二階が宿屋ってとこもあるんですよ!
あ、でもちょっと高くなっちゃいますね!
あ…」
「…」
「…」
「…どうした?」
「僕んちならただじゃないですか!そうしましょう!」
「ィ…クショイッ、ズッ…
あれぇ…誰か噂してる?
奇数のクシャミはいい噂だったっけ?
やだねぇ、もう、直接言ってくれればいいのに。
ふふん、解る人には解るもんよ、うんうん」
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