『ゆらゆらゆれて』 9
帽子が落ちそうなくらい揺れています。
片手で帽子を押さえて、
もう一歩でランタンを握り締めて走ります。
それでもランプの火はちらりともしません。
気が付くと家のすぐ近くの道まで走っています。
さっきまでは真っ暗だった周りが、
月明りで明るくなっています。
家の近くまで来るといい匂いがします。
「ただいま、帽子5つ貰ってきたわ」
「おかえり、トルティア。
ずいぶん遅いから、
迎えにいこうと思っていたところだったよ。」
「ごめんなさい」
「でも、よくがんばったね、ありがとう。
おや、このランプはどうしたのかい?」
「帽子やさんがかしてくれたの。」
トルティアはそう言うと、
ひょろりとしたアルティエットに帽子を渡しました。
「おぉこれだこれだ。
ありがとうトルティア。
そして、これはご褒美の帽子だ。
大切にするんだよ。」
トルティアは帽子をかぶりなおして窓に向かうと、
顔を右へ左へ向けて窓に映った自分を見ます。
「おかえりトルティア、
さぁ、夕食の用意が出来たよ。
帽子を置いてテーブルにおつき。」
食事をはじめるとトルティアは森であった事を
みんなに話します。
「この火はそのジャックオーランタンから貰ったのよ」
とても怖かった事は内緒にして。
テーブルにはそのランプも明るく灯っています。
「ランタンを作ったらこの火を灯すといいよ。」
おばあさん魔女はそう言うと、
ランプの火を小さくしました。
ゆらりともしなかった火が小さく灯ります。
食事が済むとトルティアとスニティアはカボチャをくり貫いて
ランタンを作りました。
そしてジャックオーランタンの火を灯すと、
玄関の外に飾りました。
明日はハロウィンです。
朝目が覚めたトルティアは、
急いで玄関外のランタンを見に行きました。
小さくですがちゃんと灯っています。
そして、トルティアの作ったランタンには
小さな下げ袋が引っ掛けられていました。
「昨日ジャックオーランタンに渡した下げ袋だわ。」
それを取ると中を見てみました。
「クッキーは全部食べたのね。」
トルティアは少しだけ嬉しくなりました。
ランタンの灯がゆらゆら揺れました。
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