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お話を書いています。 まだ整理整頓できてないですが、少しずつ更新していきますので宜しければお立ち寄りください。 日記や雑記も混じってます。
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2024-11-22 (Fri)
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2008-09-22 (Mon)

『ゆらゆらゆれて』 5

やがて森を抜け、町が見えてきました。
レンガ作りの建物が見えてきます。
ずっと向こうにもたくさんの店が見えます。

森から抜けて一本道。
町につながる一本道もそろそろ終わり。
レンガの建物が3軒あります。
少し離れて奥のほうにはもっとたくさん。

「すぐよ、すぐ。
 すぐ見つけるわ。」

それもそのはずです。
一本道から一番はじめにある建物の壁には
羽の絵の付いた帽子型の木の看板がかけられています。

トルティアは店の前で大きく深呼吸を一回しました。
そして戸をあけます。

「こんにちは。」
「いらっしゃいませ、おや、小さなお客さんだね。
 一人かい?」
「おつかいを頼まれたの。
 一人で来たのよ。」

トルティアは下げ袋から手紙を出すと、
それを渡しました。

「帽子だね、5つもあるけど持てるかい?」
 
店主はそう言いながら戸棚からとんがった帽子を5つ
重ねてテーブルに置きました。

「この小さいのはおじょうちゃん用かな?」

チョットだけかぶってみるとそれはぴったりです。
この帽子だけかぶって他の帽子を手で持って帰りたい気分です。
でも、持てそうにも無いのです。
トルティアは次に小さい帽子をその上に、
そして次々の重ねてかぶりました。

「ほらこれで大丈夫!」

これなら両手も開いたまま帰られます。
すると店主が言いました。

「魔女の家は森の奥だったね。
 これから帰ると日が落ち始めて暗くなるかもしれないから、
 このランプを持ってお帰り。
 あぁ、ランプはまたこんど町に来るときにでも
 返してくれれば良いからね。
 そうそう、これはおつかいのご褒美だ。」

店主は小さなランプとクッキーの入った袋をくれました。
トルティアはクッキーを下げ袋に入れました。
 
「ありがとう、それじゃ帰るわ。」
「気をつけてお帰りよ。」
「はい、さようなら」
「さようなら。」

五つの帽子を頭に、手にはランプを持って帰ります。

「簡単簡単、おつかいなんて簡単だわ」

初めてのおつかいも頭の帽子も、
そして首からさげた袋の中のクッキーも、
みんな嬉しいものばかり。
後は家に帰るだけ、
もう一度落ち葉のきれいな森を帰るだけ。 

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 名前 佐伯 知花
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