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お話を書いています。 まだ整理整頓できてないですが、少しずつ更新していきますので宜しければお立ち寄りください。 日記や雑記も混じってます。
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2008-12-06 (Sat)

チチチ・・・チュンチュン・・

朝だ・・・。
あ・・・やっぱり願いは叶わなかったんだ。
僕は猫のままだ。

あれ、今日は朝ごはんの匂いしない。
マサト君起こさなくちゃ。
あぁ、またもぐって寝てるんだ。
猫の僕には布団をはがすのは大変なんだけどなぁ。

 マサト君、起きて、起きて、起きて!

布団の上に飛び乗ってゆさゆさしてみた。
いつもとチョット違う。

「たもつ、もちょっと寝させて、今日休みなんだ」
「だめ!起きて!もう10時だよ!」
「え~10時・・・後10分でいいから・・・」

布団の端に噛み付いて、思いっきり勢いよくベッドから
飛び降りてみた。

 だれ、この猫。

「たもつ・・・後10分ってば・・・」
「マサト君?」
「なに、たもつ・・・」
「マサト君・・・」
「たもつ!でか!」

違うよ、マサト君、マサト君が縮んで・・・
ていうか猫になったんだよ。

「あー!!!俺の手が!手が!」
「マサト君、手だけじゃないよ・・・」
「なに!?うぉ!!足が!何だこの肉球は!」
「尻尾もあるよ・・・」
「うぉぉぉ!!!なんだこれは!」
「マサト君・・・」
「耳か!耳!おお!ツンとだな!おぉ!
 いい毛並み過ぎる!ふわふわでもこもこでつやつやじゃないか!!」
「マ、マサト君・・・」
「うぉぉぉぉ!!!!」
「お、落ち着いて・・マサト君・・・」

マサト君が壊れました。
30分ほど勢いよく壊れて、その後鎮火しました。

「何なんだ・・・これは・・・」
「猫・・・だね。」
「たもつ、言葉喋ってるし・・・」
「あ、うん、ていうか、いつも喋ってるよ。
 いつもは通じないだけ。
 今はマサト君猫だから通じるんだよ、たぶん」
「そっか・・・。」

納得してしまうほどショックなんだ・・・
慰めの言葉がも見つからないってこういうこと言うんだ・・・

「マサト君、僕ね、いつもマサト君に話ししたいって
 思ってたんだ。
 だから毎日お願いしたんだ。
 マサト君と一緒にしてくださいって」
「うん。」
「僕が人間になれたらいいなぁって。」
「うん。」
「マサト君が猫になっちゃった・・・」
「うん。」
「ごめんなさい・・・」
「いや・・・謝られても・・・」
「僕がちゃんと、人間にしてくださいってお願いしなかったから」
「問題点そこじゃないから」

そうだよね、マサト君が猫になってしまうなんて。
これから・・・と言うより、まずは今日。
僕の方が「猫の先輩」なんだから、しっかりしなくちゃ。

「あのね、マサト君!」
「たもつ、とりあえず飯に食おうか」

マサト君はやっぱりマサト君だった。
自分のご飯より先に僕のご飯を用意してくれるんだ。
猫になっても、そうなんだ・・・

「たもつ、缶詰開けられない・・・カリカリだけで我慢して」
「カリカリも好きだからいいよ!」

カリカリの箱は僕も開けられる。
猫缶は・・・まだ上のタブを上げるだけしか・・・

「さて、俺はどうするかな」
「一緒に食べようよ・・・ってだめ?」
「俺もそれ食うのか・・・」
「美味しいよ?これ一つずつ味が違うんだよ」
「らしいな、これも経験ってか・・・
 かなり勇気がいるんだが・・・」
「そうなの?」
「うん」

カリカリカリカリ……

なんか嬉しい。
喜んじゃいけないんだけど、でも嬉しい。
今僕はマサト君と同じでいるんだ。

「そういえば、たもつ、いつも俺がバイト行った後って
 なにしてるんだ?」
「ん・・・えっと、ごろごろしたり、棚とか椅子とか登ったり・・・
 窓の外見たり・・・色々やってるよ。」
「そなんだ。」

本当は、ガリガリも少しやってたりするんだけど、
それは言えない・・・。

「あとはお昼寝かなぁ・・・」
「昼寝かぁ・・・それは俺も好きだ」

同じ事が好き、それも嬉しい。
言葉通じるとやっぱり嬉しい。
マサト君には申し訳ないけど、僕はとても嬉しい。

同じ歩調でソファーに移動。
あくびがうつって二匹であくび。
物音にチョットびっくりして同時に耳を動かして。
日当たりのいい窓から少し離れたところで一緒にお昼ね。

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