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お話を書いています。 まだ整理整頓できてないですが、少しずつ更新していきますので宜しければお立ち寄りください。 日記や雑記も混じってます。
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2008-12-07 (Sun)

日が陰て薄暗くなった頃、目が覚めた。
マサト君は窓のところで外を見ていた。

「たもつ、雪降ってんぞ」
「え、どこどこ」
「ほら、今年はホワイトクリスマスだな」
「ホワイトクリスマス?」
「クリスマスに雪が降るとそう言うんだ」
「そうなんだ」
「お前を拾った時も雪が降ってたな」
「そうだっけ・・・あんまり覚えてないよ。」
「ははは、そうだよな、あん時まだ手のひらサイズで
 小さかったしな」
「そんなに小さかったんだ・・・」
「おまえさ、箱にも入れられてなかったんだぜ。
 紙袋につっこまれてて。
 声だけしててさ・・・。」

少しだけ覚えてる。
寒くて寒くて、怖くて寂しくて。
どこからか何か声がして、
近くを足音がして。
必死で叫んだんだ。「ここだよ、ここにいるよ」って。

「最初どこから声がしてるかわかんなくてさ。
 ほっとこうと思ったんだけど、なんかさ・・・
 なんかわかんないけどさ、ほっとけなくてさ。
 探したんだぜ、雪の中で這い蹲って。
 自分でもおかしいくらい必死でさ。
 紙袋がかさかさ動いて、そこから声がしてるのに気づいた時、
 わけわかんねぇくらい嬉しかった。」

僕はそこからは覚えてないんだ。
でも、きっと僕よりも冷たい手で僕を拾ってくれたんだ。
その後に覚えてるのはこの部屋と暖かいマサト君の手だった。

「止んだ、全然積もってもないな。
 あぁ、向こうの方星見えてるわ。」
「ホントだ、この上の方は灰色なのに。」
「風が強い日だと、雲の流れが早いからな」
「空って面白いね」
「お前夜もよく窓んとこいるもんな。
 なぁ、お前さ、流れ星って知ってるか?」
「流れ星?」
「あの空の星の中で、すっと空を横切るように流れる星があるんだ」
「気が付かなかった!」
「流れ星が流れきるまでに願い事を言うと叶うんだぞ。」
「すごい!」
「ちなみに俺は成功した事がない」
「むずかしい?」
「難しいから叶うって言われてるんだ。
 さて、腹減ったろ?
 飯・・・カリカリ食うか?」
「うん」

僕はまたお願いするんだ。
今度は星にお願いするんだ。

少ししか見えない空、風がもっと強く吹けばいいのに。
雪は嫌いだ。
雪の雲はどっかに行けばいいのに。
早く真っ黒の空とたくさんの星の空になればいいのに。
そしてたくさん流れ星が流れればいいのに。
そしたら、いっぱいいっぱい同じお願いするんだ。

「マサト君を元に戻してください」

夜中になっても少しの空しか見えなかった。
マサト君はいつもの時間に眠たくなって、
ソファーの上で丸くなって寝てる。

何だかぼんやりしてきた・・・少し眠い。
でも頑張らなくちゃ。

あ、言えたかも。
あ、だめだ・・・失敗・・・
今度こそ、今度こそ・・・今度こそ・・・
 

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