「なぜ違う品種を植えたの?」
彼女が言った。
「同じ品種だと交配が上手くいきにくいんだ。
実がよくなるようにってこと」
「ふ~ん、よくわかんない」
「虫も同じものだけじゃ飽きるんじゃない?」
「そうなの!?」
「虫に聞いてみなよ」
「あ~、またはぐらかす!」
ブルーベリーが流行りだして数年。
去年偶然ブルーベリー狩りが出来るという
農家を見つけて行ってみた。
真夏の照りつける日差しの下、
黒い網のハウスの中には
背丈ほどのブルーべりが植わっていた。
撒かれた水が蒸しかえるハウスの中で、
熟しきったブルーベリーがたわわに生る。
時折吹く風が、甘い香りを運ぶ。
品種によって甘さすっぱさ濃さ色々あるそうだ。
「こんなに違う品種を同じハウスに植えて
混じったりしないんですか?」
疑問に思った。
「こういう植物はね、同じ品種より違う品種を
近くに植えてやった方がよく実が付くんだよ」
答えは違うものだったが、
何故だかそれで納得した。
「ハウスにミツバチ入れてるんだけど、
ミツバチも違う味がした方がいいのかもしれんねぇ」
人は不思議なもので、
相手に肩書きがあると、それがどんなものでも
その言葉に納得してしまう事がある。
実際、本当のところは解ってないようだった。
こうすれば効率が上がると言うマニュアルかなにかで
知っただけらしい。
「これ、カブも売ってるんですか?」
「あぁ、あるよ、土がちょっと重いけど、
車ここにつけて乗せてかまわないし」
「2種類でもいいんですよね?」
「ん?あぁ、そうそう、
どうせならこの粒が大きくて甘い方のと、
小ぶりだけど甘酸っぱさが濃いのを買うといいよ」
「それじゃその二株で」
大きい方は甘いが大味。
小さい方は酸味も強いが味が濃い。
らしい。
確かにそう言う気がした。
そして今年収穫を迎える。
大して大きくもない苗2本。
それでも結構な量の実が生っている。
「ヨーグルトに入れてみる?」
「とりあえず、暑いからアイスに乗せてみるってのはどう?」
「賛成~。じゃ私アイスの方用意してくるね」
「はいはい」
彼女が取ったブルーベリーもあわせて
両手いっぱいになった。
さて、今が旬。
さっと洗って、今を楽しみましょうか。
ブルーベリーはあまり手がかかりません。
虫も余りつかないようです。
株が少ないと一度に取れる量が少ないので
取れるたびに冷凍をして、たくさん溜まったら
ヨーグルトに混ぜて贅沢を味わうのもいいかも。
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