『ペギーの宝物』 3
今日の夜は二匹はいません。
ペギーはお昼に拾ったどんぐりをパジャマのポケットにいれました。
そうしてベッドにもぐるとぽんぽん、ぽんぽん、とポケットの上からどんぐりをたたきます。
「二つしかないわ・・・」
夜中の事です。なんだか声が聞こえてきます。
「いいな、いいなぁ、どんぐりいいなぁ」
「だめよクー、クーはなんでもほしがるんだから」
「だって、あのどんぐりは僕が先に見つけたんだもん」
「私だって気づいてたわ、でも二人ともころんじゃってわかんなくなったでしょ」
「グーはほしくないの?」
「私はほしくないわ、おねえちゃんだもの」
ベッドの横から聞こえてきます。
「僕の方がグーよりおにいちゃんだい」
ペギーはそっとベッドの端っこから覗きみました。
「欲しがりんぼのクーはまだ赤ちゃんよ」
「欲しいくせに!うそつきのグーの方が赤ちゃんだ!」
「じゃぁ今度私が拾ったらクーにあげるわ」
「本当?ほんとにくれる?」
「私はお姉ちゃんだからクーにあげるわ」
「私の方がお姉ちゃんよ!だから二人にあげるわ!」
「本当!」
「本当!」
ペギーは口を押さえて小さく「あっ」と言いました。
「本当よ。私はあなたたちのお姉ちゃんだもの・・・」
そう言ってポケットに手を入れました。
「あれ、どんぐりがない・・・」
寝る前にちゃんと入れたはずのどんぐりがありません。
「ペギー、どんぐりちょうだい!早くちょうだい!」
「クーとお揃いのどんぐりをちょうだい!」
二匹は手を揃えて前に出して待っています。
「どんぐりがなくなったの、ちゃんと入れたのにないの」
ペギーはベッドの中にもぐるとごそごそ探し始めました。
「僕も探すよ」
「私も探すわ」
二匹もごそごそ探し始めます。
「ないわ。こんなに探したのにどこにもないわ」
ペギーは悲しくなってきました。
「ほしかったのに、どんぐり」
「仕方ないわよ、なくなっちゃったんだもの」
「グーは悲しくないの?」
「私はお姉ちゃんだもの、がまんするわ」
「明日もう一度探しに行くわ。ちゃんと見つけて二人にあげる」
ペギーはもうちょっとで出てきそうな涙をぐっと我慢していいました。
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